安積道也教会音楽講座6
「実践!モーツァルトの《レクイエム》」
〜歌い手と指揮者のための“深めの”基礎知識〜(全2回)

モツレクを深掘りする!!

ハイデルベルク教会音楽大学合唱指揮科教授・安積道也先生から「教会音楽」について様々な視点から解説いただく好評セミナーの新シリーズが始まります!
この第6シリーズでは、数あるオラトリオ作品のなかでも絶大な人気を誇るモーツァルトの《レクイエム》を深掘り解説していただきます。
8月10日~12日に開催するワークショップ「福岡オラトリオ・アカデミー」の連動企画ですが、オンラインのみのご参加も大歓迎です。

《講師からメッセージ》
モツレク、フォーレク、ヴェルレクなどでお馴染みのタイトル「レクイエム」。鎮魂歌という訳がいまだに見られるようですが、これは誤りです。「死者のためのミサ曲」と正しく記される場合もありますが、ではなぜ、ミサ曲なのに「グロリア」がないのでしょうか。また、プロテスタント教会では葬儀礼拝に「レクイエム」を歌うことはありません。同じキリスト教なのに、なぜでしょうか。
ところで、モーツァルトのレクイエム(以下:モツレク)をする時、必ず問題になるのが「何版を使うか」ということです。それによってオーケストレーションはもとより、楽曲が全く変わってしまうこともあるからです。一体、モツレクに「オリジナル」はあるのでしょうか。何を以って「モツレク」というのでしょうか。

最初の問いは、そもそもレクイエムとはなんなのか、キリスト教のどの宗派のアイデアなのか、またそれがどのような死生観を前提としているのか、ということに関係してきます。今回の講座では、まずここをおさえます。歌詞となる典礼文の註解を含め、礼拝におけるそれぞれの部分の持つ機能を紹介します。そして、ほとんどの「レクイエム」に通ずる前提を外観した上で、モツレクに焦点を合わせ、具体的な諸問題に触れていきます。

二つ目の問い(版の問題)は、モツレクについてまつわる難問です。これまでの重要な版を外観したのちに現在の状況をご紹介いたします。そして、各論として、ラテン語の発音(ドイツ式?イタリア式?)、古典派の演奏様式、オーケストラの楽器、ソリスト、そして古楽器による演奏とモダン楽器による演奏の良し悪しなどについて、指揮者として考えて、悩んできた観点に沿ってお話しします。宗教的背景を知り、オーケストラ、ソリストまた指揮者の事情を知ることで、合唱団から見たモツレク像も全く違うものになるでしょう。

これからモツレクを振る予定の指揮者にとっても、欠かせない情報をいくつか盛り込みます。合唱の方も指揮者の悩みを知ることで、きっと次の本番、指揮を「観る」ことが、より楽しくなるでしょう。このように、今回はこれまでとは少々趣を変え、どちらかというと「生々しい」話が多くなります。

講座ではジュスマイヤー版を「基本形」として用います。では、実際にどう音にするのか、ということは連動企画のワークショップ(福岡)で私が自ら実際に行いますが、この2回のセミナーはそれとは独立したものとしても組み立てます。したがって、純粋にもう一度モツレクについて整理したい方、より知識を深めたい方、実践(演奏・指揮)を控えている方など、どなたもどうぞご参加ください。

(安積道也)

安積道也教会音楽講座6 「実践!モーツァルトの《レクイエム》」 〜歌い手と指揮者のための“深めの”基礎知識〜

講座概要

講座タイトル 安積道也教会音楽講座6
「実践!モーツァルトの《レクイエム》」
〜歌い手と指揮者のための“深めの”基礎知識〜
講師 安積道也(ハイデルベルク教会音楽大学合唱指揮科教授)
日程・内容 2024年
第1回 7月6日(土)死者ミサと死者のためのミサ曲の違い/カトリックの死生観/煉獄とディエス・イレ/ミヒャエル・ハイドン/版と補筆/モツレクのオリジナル/その他
第2回 7月13日(土)様々なラテン語の発音/演奏上の注意点(古楽器とモダン楽器の良し悪し・オルガンパート)/指揮者の悩みどころ/合唱団の頑張りどころ/各楽章ワンポイントアドヴァイス/その他
時間 各回とも15時00分~16時30分(90分)※受付開始30分前
受講料 2回通し6,000円(税込)※各回の受講設定はございません。
アーカイブ動画 あり・視聴期間2024年8月31日(土)まで
楽譜 ベーレンライター社《レクイエム(ジュスマイヤー版)》を各自でご用意ください。

申込方法

下記「受講申込をする」ボタンよりお進みください。( 受講までの流れはこちら

連動企画 (対面講座)

福岡オラトリオ・アカデミー2024「実践!モーツァルト《レクイエム》を歌う」

日程 2024年8月10日(土)~8月12日(月・振休)
会場 8月10日:そぴあしんぐう 大ホール(福岡県糟屋郡新宮町新宮東4丁目1-1)予定
   8月11日&12日:福岡市立西市民センター ホール(福岡市西区内浜1-4-39)

講師プロフィール

安積道也(あづみ・みちや)

シュトゥットガルト、並びにフライブルク音楽大学にて教会音楽科A課程と大学院合唱指揮科を最優秀で修了。ドイツ国家資格教会音楽家最高位(A級カントール)取得。2004年第1回バイロイト合唱指揮者コンクール優勝。これまでに、合唱指揮をM. シュルト=イェンセン、D. クルツ、H. M. ボイエレに、管弦楽指揮法をS. サンドマイヤーに師事。
2009〜19年、福岡にて西南学院音楽主事。在任中オラトリオ作品に特化した合唱団「オラトリオ・アカデミー」を設立。学院の音楽事業を手掛ける傍ら、全国各地で客演指揮、オルガンコンサート、合唱指導、講習会講師、合唱コンクール審査員などを幅広く活動した。教会音楽の理論と実践を専門とし、アカペラから管弦楽付きオラトリオ作品まで、幅広いレパートリーを持つ。エリザベト音楽大学元非常勤講師、キリスト教礼拝音楽学会元理事。
2020年、ハイデルベルク教会音楽大学合唱指揮科教授に就任。再びドイツに拠点を移し、教会音楽科育成課程における指揮科の責任者として教会音楽家の育成と教会音楽・合唱音楽の発展に尽力する。ハイデルベルク教会音楽大学室内合唱団常任指揮者。コロナ禍において、マンハイム室内管弦楽団、古楽オーケストラ・ラルパ・フェスタンテなどと、ヘンデルの《エジプトのイスラエル人》、モーツァルトの《レクイエム》等共演。また、「ハイデルベルク春の音楽祭」にてバッハの《マタイ受難曲》上演。音楽大学主催Summer School(2022年:宗教と音楽―「エジプトのイスラエル人」、2023年: William Byrd没後400年記念、2024年:八歌集Achtliederbuch出版500年/コラールカンタータ300年記念事業)プロジェクトリーダー・指揮。

オンライン・セミナーについて

※このオンラインセミナーは、Zoomの「ウェビナー」システムを利用して行います。受講者は音声、ビデオともオフの状態での参加となります。

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