安積道也合唱指揮マスタークラス2024「言葉を振る」

今年は「言葉を振る」

ハイデルベルク教会音楽大学合唱指揮科教授・安積道也先生による合唱指揮マスタークラスを昨年に引き続き開催いたします。
「言葉を振る」と題されたこのマスタークラスでは、「歌詞」を持つ「合唱曲」を振るために重要な事柄を中心に3日間にわたってじっくり学んでまいります。
指揮受講、合唱受講につきましては、選考で受講者を決定いたしますので、まずはエントリーをお願いいたします。

《講師からメッセージ》
昨年の第一回マスターコースでは、多数の受講希望者の中から背景や指揮法の異なる8名の指揮者をアクティヴとし、動きの基礎を学びました。この基礎はレゴのパーツのようなもので、色々な組み合わせ方が可能です。今年のコースでも、まず、理論編でこの基本動作と原理をレクチャーいたします。昨年に比べ2コマ枠を増やしましたので、実践編をより充実させ、作品の中で各パーツの組み合わせ方、すなわち指揮法の応用編に踏み込みたいと思っています。

さて、器楽曲と合唱曲の最大の違いは、「歌詞があるかどうか」です。歌詞は、子音と母音の様々な組み合わせによって形成され、それを言葉として音にする時、それぞれ固有の抑揚、アクセント、母音の色などを伴います。合唱において面白いのは、楽曲の持つ音楽上の文法と歌詞の持つ言葉の文法、あるいは、音楽上の意味合いと言葉の内容が食い違う場合が多々起きてくることです。例えば、非常に暗く抑揚のない音楽で「楽しい」という言葉を歌う場合などです。そのような時はしばしば作曲家のテキスト解釈が楽曲に入っていますから、音楽と言葉を慎重に振り分ける必要が出てきます。

オーケストラの指揮者は音楽を振ることに長けています。でもオラトリオ作品やアカペラなど歌詞が重要な役目を果たす曲を振るとき、肝心の子音や母音に関しては歌手任せになってしまう場合が多くみられます。しかし、そこを振り分けることに、合唱指揮者の強みと醍醐味があるとは言えないでしょうか。言葉を振る、とはその言葉が本来持っている音色や抑揚、子音がもたらすリズムを楽曲の中で響き化することです。母音の音色の振り方と子音の捌き方を一つの動きの中で同時に行うことになりますので、簡単ではありませんが、今回の応用編では、この点についても恐れず触れていきたいと思います。

私の指揮法では、以下の二つのものを前提にしてます。腕の動きやポジションが、本来的に人間の呼吸・発声・発音器官にどの様な反応を生起させるのかと言う一般的身体反応、そして、誰もが共通に持っている物理的予測力(例えば、着地のタイミングや、投げたボールの軌跡など)です。どちらも歌手と指揮者の母語と文化にとらわれない要素です。オケ指揮者が楽器を振るのであれば、合唱指揮とは、「人間を振る」ことと言えるでしょう。技術面に限って言えば、人体(楽器)と自然の摂理に即して振ったときに初めて、楽器(声)を操れるようになると言えます。すなわち、指揮者の音楽的アイデアを空中に描いて、歌い手が必死にそれを模索し、指揮者が満足するまでトライするのではなく、指揮者が歌い手に合わせて呼吸や発声を助け導き、自分の目指す響きや音楽を体現していくと言うことです。

合唱団と自身の動きに微妙なずれを感じている指揮者の方。それに慣れてしまっては、残念です。方法さえ知っていれば、ヴァイオリニストが弓で弦を鳴らすように、合唱団も鳴らせます。指揮者の意図を読み取れなくて、自分を責めている歌い手の方。自分を責める必要はありません。本来、歌い手は(音が取れていれば)指揮者を見ていればいいだけなのです。何かを必死に指揮者から読み取る労力は、むしろお互い聞き合うことに費やされるべきです。音を出す側と音を出させる側を一対一で繋ぐもの、それが私の指揮法です。

今回用意した課題曲は、それだけでも美しい音楽ですが、言葉を振る世界に足を踏み込んでみると、全く違った世界を露呈してきます。歌詞と音楽のバランスについても触れていきますので、邦人作品にも直接応用可能です。

息と声と言葉を振る経験、また振られる経験をしにきてください。音楽の運びのみならず、全体の響きについて、指揮者がいかに大きな影響を及ぼしているのか、お分かりいただけると思います。また東京の地でお会いできることを楽しみにしています。
(ハイデルベルク教会音楽大学合唱指揮科教授 安積道也)

安積道也合唱指揮マスタークラス2024「言葉を振る」

講座概要

講座名 安積道也合唱指揮マスタークラス2024「言葉を振る」
講師 安積道也(ハイデルベルク教会音楽大学合唱指揮科教授)
企画協力 柳嶋耕太、谷郁
日程 2024年8月16日(金) ~ 18日(日)
会場 目白教育ホール(東京教育専門学校 目白本館地下)
東京都豊島区目白2-38-4(JR山手線「目白駅」より徒歩1分)
タイムスケジュール 第1日 8月16日(金)
15:00-17:00 指揮法レッスン(1)
18:00-21:00 指揮法レッスン(2)

第2日 8月17日(土)
10:00-12:30 指揮法レッスン(3)
(14:00-17:00 連動企画 安積道也コーラス・ワークショップ)
18:00-19:30 指揮実践レッスン(1)

第3日 8月18日(日)
10:00-12:30 指揮実践レッスン(2)
14:00-17:00 指揮実践レッスン(3)

レッスン曲 Hans Leo Hassler《Dixit Maria》
Johann Sebastian Bach Choral《Jesu meine Freude》(モテット3番BWV 227 より 冒頭コラール)
Moritz Hauptmann《Wandrers Nachtlied》op. 25, 2
Anton Bruckner《Ave Maria》WAB 6 (1861)
Maurice Duruflé《Ubi caritas》 (グレゴリオ聖歌の主題による4つのモテット op. 10より)
Knut Nystedt《Credo》 (Missa brevis op.102より)
※楽譜の入手方法は受付時にご案内いたします。
募集人員
受講料
〇指揮受講 6-8名程度 
受講料 一般60,000円(税込) 学生35,000円(税込)※ワークショップ受講料含む
※応募締め切り : 2024年5月10日
※受講決定 : 2024年5月下旬

指揮受講者として指揮法レッスンを受け、実践レッスンでは合唱団を指揮します。レッスン曲は6曲全てご用意ください。(全曲レッスンを受けられるとは限りません。)
希望者が多数となった場合は、安積道也、柳嶋耕太、谷郁の3氏が選考いたします。選考は、指揮の習熟度などセミナーとしてのバランスを考慮して行われることをご承知おきください。

○合唱受講 30名程度
受講料 一般22,000円(税込)学生14,000円(税込)
※応募締め切り : 2024年5月31日
※受講決定 : 2024年6月上旬

全日程の聴講に加えて実践レッスンでは合唱団員として歌いながら学ぶコースです。レッスン曲の全曲音取りをご自身で済ませた上でご参加ください。
希望者が多数となった場合は、合唱経験、パートバランスなどを考慮して安積道也、柳嶋耕太、谷郁の3氏が選考いたします。
※ワークショップの参加には別途申し込みが必要です。

〇聴講 50名程度
聴講料 
一般12,000円(税込)学生8,000円(税込)
3日間すべてのレッスンを聴講するコースです。
※ワークショップの参加には別途申し込みが必要です。
※6月上旬申し込み受付開始予定

〇動画聴講
聴講料 一般10,000円(税込)学生7,000円(税込)
動画視聴期間:2024年9月1日~12月31日予定
※6月上旬申し込み受付開始予定

主催 株式会社コーラス・カンパニー

指揮受講エントリー受付中!

「指揮受講」は、安積道也先生の「指揮法レッスン」を受け、「指揮実践レッスン」で合唱団を指揮していただくコースとなります。
受講を希望される方は、まずはエントリーをお願いいたします。
希望者が多数となった場合は、安積道也、柳嶋耕太両氏が選考いたします。選考は、指揮の習熟度などセミナーとしてのバランスを考慮して行われることをご承知おきください。
※応募締め切り : 2024年5月10日
※受講決定 : 2024年5月下旬

合唱受講エントリー受付中!

「合唱受講」は、 指揮法レッスンの聴講に加えて、指揮実践レッスンでは歌いながら合唱団員の視点から合唱指揮を学ぶコースとなります。
受講を希望される方は、まずはエントリーをお願いいたします。
希望者が多数となった場合は、パートバランスなどを考慮して安積道也、柳嶋耕太両氏が選考いたします。
※応募締め切り : 2024年5月31日
※受講決定 : 2024年6月上旬

連動企画

安積道也 コーラス・ワークショップ2024「ブルックナーを歌う」

日程 2024年8月17日(土)
時間 14時00分~17時00分 ※受付30分前
会場 目白教育ホール(東京教育専門学校 目白本館地下)
   東京都豊島区目白2-38-4(JR山手線「目白駅」より徒歩1分)
受講料 一般4,000円 学生2,000円(税込)

「聴講」のお申し込み

※定員(20名)に達し次第受付を終了いたしますので予めご了承ください。
※お客様のご都合による欠席の場合、返金はいたしかねますのであらかじめご了承ください。
※聴講の方にもアーカイブ動画を配信いたします。(視聴期間9月1日~12月31日)

「動画聴講」のお申し込み

※動画はVimeoを使って配信します。PC、スマートフォン、タブレットのいずれでもご視聴いただけます。
※動画申込期間 2023年11月30日(木)まで
※動画配信期間 2023年9月1日(金)~12月31日(日)

講師プロフィール

安積道也(あづみ・みちや)

 シュトゥットガルト、並びにフライブルク音楽大学にて教会音楽科A課程と大学院合唱指揮科を最優秀で修了。ドイツ国家資格教会音楽家最高位(A級カントール)取得。2004年第1回バイロイト合唱指揮者コンクール優勝。これまでに、合唱指揮をM. シュルト=イェンセン、D. クルツ、H. M. ボイエレに、管弦楽指揮法をS. サンドマイヤーに師事。
2009〜19年、福岡にて西南学院音楽主事。在任中オラトリオ作品に特化した合唱団「オラトリオ・アカデミー」を設立。学院の音楽事業を手掛ける傍ら、全国各地で客演指揮、オルガンコンサート、合唱指導、講習会講師、合唱コンクール審査員などを幅広く活動した。教会音楽の理論と実践を専門とし、アカペラから管弦楽付きオラトリオ作品まで、幅広いレパートリーを持つ。エリザベト音楽大学元非常勤講師、キリスト教礼拝音楽学会元理事。
2020年、ハイデルベルク教会音楽大学合唱指揮科教授に就任。再びドイツに拠点を移し、教会音楽科育成課程における指揮科の責任者として教会音楽家の育成と教会音楽・合唱音楽の発展に尽力する。ハイデルベルク教会音楽大学室内合唱団常任指揮者。コロナ禍において、マンハイム室内管弦楽団、古楽オーケストラ・ラルパ・フェスタンテなどと、ヘンデルの《エジプトのイスラエル人》、モーツァルトの《レクイエム》等共演。また、「ハイデルベルク春の音楽祭」にてバッハの《マタイ受難曲》上演。音楽大学主催Summer School(2022年:宗教と音楽―「エジプトのイスラエル人」、2023年: William Byrd没後400年記念、2024年:八歌集Achtliederbuch出版500年/コラールカンタータ300年記念事業)プロジェクトリーダー・指揮。

※この動画は、2023年8月18日〜20日に行われた対面セミナーを録画したものをご覧いただくものです。視聴期間中、お好きな時間に何度でもご覧いただけます。

※動画は「vimeo」を利用して配信いたします。PC、スマートフォン、タブレットのいずれからでもご視聴いただけます。会員登録は必要ありませんが、スマートフォン、タブレットをご利用になる場合は、あらかじめVimeoアプリをインストールされることをお勧めします。

※お申込み・お支払い完了後、動画のURL記載したメールがお手元に届きます。お申込み後、2日経ってもメールが届かない場合は、弊社までご連絡ください。携帯電話の迷惑メールフィルターの設定で、@choruscompany.com からのメールを「受信する」にしてください。

※この講座は対面で開催いたします。(動画聴講を除く)

※お客様のご都合による欠席の場合、返金はいたしかねますのであらかじめご了承ください。ご欠席の場合はアーカイブ動画を視聴いただけます。(指揮受講、合唱受講、聴講とも)

※お申込み・お支払い完了後、参加方法を記載したメールがお手元に届きます。お申込み後、2日経ってもメールが届かない場合は、弊社までご連絡ください。携帯電話の迷惑メールフィルターの設定で、@zoom.us / @choruscompany.com からのメールを「受信する」にしてください。

※対面参加者には感染予防対策にご協力をお願いいたします。