安積道也教会音楽講座4
戦う音楽家ウィリアム・バード
〜イギリス国教会の教会音楽とウィリアム・バードの生涯と作品〜

ウィリアム・バードで英国国教会を知る!

ハイデルベルク教会音楽大学合唱指揮科教授・安積道也先生から「教会音楽」について様々な視点から解説いただく好評セミナーの新シリーズが始まります!
この第4シリーズでは、今年没後400年を迎えたイギリス・ルネサンス期の大作曲家ウィリアム・バードの作品を通してイギリス国教会とその宗教作品について学んでいきます。
多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

《講師からメッセージ》

今年2023年は英国ルネッサンス期を代表する大作曲家ウィリアム・バード(William Byrd, ca 1539-1623)の没後400年を記念する年です。英国は1534年の首長令によって正式にカトリック教会から英国国教会として宗教上独立するのですが、その基礎石が築かれたのはエリザベス一世の治世でした。バードは、その時期に国教会の王室礼拝堂で音楽家として活動しますが、彼自身はカトリック教徒であり、生涯自身の信仰を公にし、貫いた人でありました。もちろん職場である国教会のために多数の作品を残しましたが、宗教上の理由から厳しい社会的弾圧もうけました。バードの作品をつぶさに読み解くと、同じキリスト教であるものの、国教会とカトリックの宗派間で苦しみ、それに抗った彼の足跡がはっきりと見えてきます。例えば、彼はグレート・サーヴィスのように、国教会のための傑作を数多く作曲しているにも関わらず、出版した作品集はカトリックの典礼に即したものばかりでした。また、日本でも有名な三声、四声、五声のミサ曲も国教会の礼拝形式には当てはまらず、カトリックの典礼を念頭に置いていることがあからさまになっています。

前回の講義ではカトリックのミサ曲について詳しくお話ししました。今回はまず、カトリックから袂を分かった英国国教会の教会音楽について礼拝の仕組みと照らし合わせながら学び、後半でバードの人生と彼の作品を紹介することで、英国国教会ルネッサンス期の教会音楽の変遷を外観し、「キリスト教教会音楽」が決して一枚岩ではないことをお話ししてみたいと思います。とりわけ、バードの作曲家としての政治的社会的な戦い方や立ち居振る舞いにも視点を投じてみたいと思います。

有名なAve verum corpusや三つのミサ曲に見るように、バードの作品の美しさは現在においても群を抜いています。歌いやすいものから、極度に複雑なもの、また瞑想的なものから血湧き肉躍るような作品まで多様な性格のレパートリーが存在します。講義では、その中から今日の編成(混声合唱)でも歌える作品を紹介いたします。コンサートピースとしても対応できる作品も多数ありますので、ここで学んでぜひご自身の合唱団でお試しいただければ幸いです。
(安積道也)

安積道也教会音楽講座4 「戦う音楽家ウィリアム・バード 〜イギリス国教会の教会音楽とウィリアム・バードの生涯と作品〜」

講座概要

講座タイトル 安積道也教会音楽講座4
「戦う音楽家ウィリアム・バード〜イギリス国教会の教会音楽とウィリアム・バードの生涯と作品〜」
講師 安積道也(ハイデルベルク教会音楽大学合唱指揮科教授)
日程・内容 2023年
第1回 2月25日(土) 英国国教会の礼拝音楽
英国国教会誕生史/カトリックと国教会/祈祷書/カンティクム/サーヴィスとアンセム/シェパード、タリス、バード、ヘンデル、スタンフォード他
第2回 3月11日(土) ウィリアム・バード
バードの人生/国教会とカトリック/エリザベス一世/出版物/作曲ジャンル(コンソート・ソング、ヴァージナル作品、合唱曲)
第3回 3月25日(土) バードの作品と宗教
出版物/国教会のための作品(グレート・サーヴィス、他)/カトリックのための作品(グラドゥアリア、ミサ曲、他)/追悼歌(タリス)/世俗的作品/政治的作品/国教会・宗教的弾圧と戦う作品
時間 各回とも15時00分~16時00分(60分)※受付開始30分前
受講料 3回通し5,000円(税込)※各回の受講設定はございません。
アーカイブ動画 あり・視聴期間2023年4月30日(日)まで

申込方法

下記「受講申込をする」ボタンよりお進みください。( 受講までの流れはこちら

講師プロフィール

安積道也(あづみ・みちや)

シュトゥットガルト、並びにフライブルク国立音楽大学にて教会音楽家A課程と大学院合唱指揮科を最優秀で修了。ドイツ国家資格教会音楽家最高位(A級カントール)取得。2004年第1回バイロイト合唱指揮者コンクール優勝。2007年アルテンブルク国際オルガン即興アカデミー・ファイナル・コンサートプレーヤー。在独中、ギュンタースタール聖マリア教会音楽監督とフライブルク独仏合唱団常任指揮者を兼任。
これまでに、合唱指揮をM.シュルト–イェンセン、D.クルツ、H.M.ボイエレに、管弦楽指揮法をS.サンドマイヤーに、オルガンをJ.ラウクヴィック、H.ドイッチュに、グレゴリオ聖歌をG.ヨッピヒに、声楽をE.B.ヒレマン、B.ゲルトナー各氏に師事。
2009〜2019年西南学院音楽主事。在任中オラトリオ作品に特化した合唱団の設立や、演奏会の企画・演奏など学院の音楽事業を手掛ける傍ら、全国各地で客演指揮、オルガンコンサート、合唱団や講習会の指揮や指導、講師を精力的に務める。教会音楽の演奏と実践を専門とし、小編成のアカペラから管弦楽付きオラトリオ作品まで、幅広いレパートリーを持つ。エリザベト音楽大学元非常勤講師、日本オルガン研究会元会員。キリスト教礼拝音楽学会海外会員。
2020年ハイデルベルク教会音楽大学合唱指揮科教授に就任。再びドイツに拠点を移し、後進の育成と教会音楽・合唱音楽の発展に尽力する。
ハイデルベルク教会音楽大学室内合唱団常任指揮者。ハイデルベルク聖ラファエル教会オルガニスト。

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