「トゥーリズム未踏の観光地 南イタリア
-- 歴史とは何かを、音楽社会史家大崎滋生が考える」(全6回)

音楽社会史家・大崎滋生、南イタリアを舞台に新境地に挑む!

ベートーヴェン像を再構築した過程を通して、音楽史学の在り方について熱く語った前セミナーから半年、音楽社会史家・大崎滋生氏が、舞台を一転、南イタリアに移し、“観光”の視点から“歴史”とは何かに迫ります。
氏自らが撮影した美しい南イタリアの風景を楽しみながらお話を伺っていきますので南イタリアを旅する気分で気軽にご参加ください。

《講師からのメッセージ》
 私は大学教授職を定年退職後、縁あって南イタリアに1ヵ月、2ヵ月と滞在するようになりました。若いときは有名観光地を駆け巡るだけでしたが、ここ7年は行くたびに小さな村を訪れると、西欧中心で形成されてきた私の歴史観がゆさぶられ、改めて歴史とは何かを実感するようになりました。
 今回のオンラインセミナーは、対象に対しては門外漢と言ってよいのですが、『ベートーヴェン像 再構築』執筆で培った方法論を使って、南イタリア観光の現状を分析し、その問題点を提起したいと思います。すると、そこには当然ながら音楽史学とも共通する、歴史の本質が見えてきます。
 ベートーヴェン像・セミナーの再開は来年の課題に譲り、今回は対象をガラッと変えて、しかしおそらく皆さんの関心をより広く捉えるであろう一般的なテーマから、改めて歴史とは何かを考えてみることにします。

 イタリア旅行と言えば、ローマ、ミラノ、フィレンツェ、ヴェネツィア、そしてナポリ、この5カ所が定番です。 このなかでナポリがかろうじて南イタリアに位置しますが、その他は北部・中部イタリアにあって、トリノ、ジェノヴァ、シエナ、ボローニャ、ピサ、ルッカ等々、その他の有名観光地もほとんどがその範囲に存在します。南イタリアのもうひとつの中心地バーリ近郊の、とんがり屋根で名高いアルベルベッロを唯一の例外として。最近のツアー旅行には、チンクエテッレ、ピエンツァ、チヴィタ・ディ・バーニョレージョ等々、小さな村も加わり始めましたが、それらもみなイタリア観光の中心地から少し足を伸ばした1日小旅行です。この地域はルネッサンス以降、イタリア近代の文化の中心地であり、たくさんの世界遺産が観光客を魅了します。
 それに対して南イタリアは、1861年のイタリア王国の誕生によって現在に近いイタリアとして統一されるまで、「両シチリア王国」という、文化も歴史も異なる別の国でした。19世紀に入ると北部ヨーロッパでは市民革命が相次ぎ、貴族社会から市民社会への転換が進行した、と一般に言われます。しかし「両シチリア王国」では専制王政の支配が続き、さらに20世紀に入ると、貴族に代わってマフィアの登場によりこの地域の近代化は決定的に遅れます。治安は極度に悪化し、ゴミ収集など自治体の機能も不全でした。南イタリアのこうしたイメージは1990年代まで観光が避けられるほどでした。それが、ここ20年ほど、自覚的な市民たちのたゆまぬ努力により、マフィアの撲滅にほぼ成功したことから、市民生活は大幅に改善され、観光対象地としても整備されるところも出てきました。ガイドブックとして定評のある「地球の歩き方」の「南イタリア・マルタ」編は2015/16年版まではせいぜいバーリ、レッチェ、マテーラといった中心都市を扱うのみでしたが、2017/18年版「南イタリア・シチリア」(改称)編にはマルティナ・フランカ、カステル・デル・モンテなどの名所旧跡が加わり、最新の2020/21年版になるとロコロトンドが小さな村の代表として組み込まれました。しかしそのような村々は、観光地として整備され始めた/されていないを問わず、無数に近くあります。
 しかしこのセミナーはそうした埋もれた観光地の紹介を目的としたものではありません。音楽社会史家・大崎滋生が、イタリア全体の現状から南イタリアの問題を分析し、その歴史と現在、そして観光対象としての将来に向けた展望を語ります。(大崎滋生)

講師 大崎滋生(音楽社会史家)

「トゥーリズム未踏の観光地 南イタリア -- 歴史とは何かを、音楽社会史家大崎滋生が考える」

講座概要

講座タイトル 「トゥーリズム未踏の観光地 南イタリア
-- 歴史とは何かを、音楽社会史家大崎滋生が考える」(全6回)
講師 大崎滋生(音楽社会史家)
日程・内容 2022年
第1回 10月15日(土) イタリアの現在
--日本人の一般的イタリア観は極端に一面的
第2回 10月29日(土) 南部(メッヅォジョルノ)問題の歴史
--もうひとつのイタリア
第3回 11月12日(土) 南イタリアの過去と現在
--イタリアの誕生は160年前のこと
第4回 11月26日(土) 南イタリア珠玉の村々
--観光地とは無縁の営み
第5回 12月10日(土) 南イタリアの富と町の繁栄はどこから、そして貧困
--オリーブと農民の労働、そしてマラリアとの闘い
第6回 12月24日(土) 歴史とは何か
--"世界遺産"の誕生とその功罪
時間 各回とも11時~12時(60分)※受付開始30分前
アーカイブ動画 配信あり・視聴期間2023年1月31日まで
受講料 6回通し3,000円(税込) ※各回ごとの受講設定はございません。

申込方法

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講師プロフィール

大崎滋生(おおさき・しげみ)

音楽社会史家[西欧音楽史]
研究者としての出発点はその当時、音楽史学の中心的課題であった資料研究で、難易度の最も高いヨーゼフ・ハイドンを研究テーマに選び、冷戦下の東西ヨーロッパ13ヵ国で図書館・修道院等でハイドンの原典資料の伝承についてフィールドワーク。1982年にヴィーンで開催されたヨーゼフ・ハイドン生誕250年記念国際会議に参加。その後、音楽社会史研究のメッカ、ドイツのマインツ・グーテンベルク大学音楽学研究所にゲスト教授として招かれ、過去の音楽社会全体の研究に従事。所長マーリンク博士(後に国際音楽学会会長)との共同研究の成果として、共著『オーケストラの社会史』(1990年)を著すとともに、単独で『楽譜の文化史』(1993年)、および『音楽演奏の社会史--よみがえる過去の音楽』(1993年)を執筆。音楽史の成り立ち(史学史)を『音楽史の形成とメディア』(2002年)に、CD時代の到来に即応して約3000曲のシンフォニーを『文化としてのシンフォニー』全3巻(2005-2013)にまとめる。近著としては『ベートーヴェン像 再構築』全3巻(2018年)、『ベートーヴェン 完全詳細年譜』(2019年)がある。

オンライン・セミナーについて

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