音楽史家 大崎滋生『ベートーヴェン像 再構築』を熱く語る
鼎談 大崎滋生×安田寛×坂元勇仁
第3シリーズ(全5回)

なぜベートーヴェン像は再構築されなくてはならなかったのか?

「ベートーヴェン像」を再構築してきた過程を明らかにすることで、これまでの「音楽史学」の在り方に問題提起を投げかけてきたオンラインセミナーはいよいよクライマックスの第3シリーズへと突入!
“なぜベートーヴェン像は再構築されなくてはならなかったのか?” その答えがここに! !

音楽探偵・安田寛も熱く語る

第二シリーズの最後の回で、ベートーヴェンの生涯を読み解く鍵は、耳が聞こえなくなったことなどではなく、意外にも貴族からの年金であったことが鮮明に示された。年金を通してみると、ベートーヴェンの生涯と創作活動との関係がこれほど明瞭になるとは驚きを越えて、呆然とするしかないものだった。給費留学生としてウイーンに出て来たばかりのベートーヴェンは、ナポレオン軍によって崩壊したボン宮廷からの支給が停止し、新たな収入が確保できなければ、活動停止に追い込まれる窮地に陥った。苦労の末、ようやくこぎつけた年金契約も順調には履行されず、戦時下の超インフレで年金の実額は下落し、とても大作品にだけに絞った創作活動に専念できるものではなくなった。戦時下で生涯続いた経済苦境で、ベートーヴェンはパンのための仕事から解放されることはなかった。そんな中でベートーヴェン自身もそう考えていた生涯の最大傑作ミサ・ソレムニスが書かれた。十四世紀から数えても、膨大な数のミサが作曲された。その歴史にベートーヴェンのミサ・ソレムニスはどう位置づけられるのか。ベートーヴェンの全生涯と全作品の凝縮とでもいうべきこの作品の本質をどう読み解くのか。そのために必要な知っておくべき準備は何か。この壮大なテーマに大崎滋生が目指すベートーヴェン像再構築の成否がかかっている、と言っても過言ではない。楽しみな第三シリーズである。(音楽探偵 安田寛)

音楽史家 大崎滋生 ベートーヴェン像再構築を熱く語る 【第3シリーズ】  鼎談/大崎滋生×安田寛×坂元勇仁


「第2シリーズダイジェスト動画」
第3シリーズの前にちょっとだけ第2シリーズをおさらい。受講をご検討いただいている方もそうでない方もまずはこのダイジェスト動画をご覧ください!!
第1シリーズのダイジェスト動画はこちら。

講座概要

講座タイトル 音楽史家 大崎滋生『ベートーヴェン像 再構築』を熱く語る
鼎談 大崎滋生×安田寛×坂元勇仁
第3シリーズ(全5回)
パネリスト 大崎滋生 (音楽社会史家)
安田寛(音楽探偵)
坂元勇仁(レコーディング・ディレクター)
日程・内容 2022年
第1回 2月19日(土)ベートーヴェンにおける作品献呈の意味
- 全作品の献呈・非献呈の分析を通じて
第2回 3月12日(土)生涯最大の被献呈者、ルドルフ大公とは誰か?
第3回 3月19日(土)生涯最大の作品、ミサ・ソレムニスはどこまで理解されているか
- ルドルフ大公献呈作品としてのミサ・ソレムニス
第4回 4月2日(土)甥の後見と晩年の経済問題
- 社会権力から自立した作曲家の誕生を巡る闘いの物語 その2[完結編]
第5回 4月16日(土)全15回のセミナーを振り返って
- ベートーヴェン像はなぜ再構築されなければならないか

※講座の内容は変更となる可能性がありますことをあらかじめご了承ください。

時間 各回とも16時30分~18時00分(90分)※受付開始30分前
※時間は延長となる可能性がございます。
受講料 5回通し 8,000円(税込) 各回 1,800円(税込)
アーカイブ動画視聴期間 2022年4月30日(土)

申込方法

下記「受講申込をする」ボタンよりお進みください。

講師プロフィール

大崎滋生(おおさき・しげみ)

音楽社会史家[西欧音楽史]
研究者としての出発点はその当時、音楽史学の中心的課題であった資料研究で、難易度の最も高いヨーゼフ・ハイドンを研究テーマに選び、冷戦下の東西ヨーロッパ13ヵ国で図書館・修道院等でハイドンの原典資料の伝承についてフィールドワーク。1982年にヴィーンで開催されたヨーゼフ・ハイドン生誕250年記念国際会議に参加。その後、音楽社会史研究のメッカ、ドイツのマインツ・グーテンベルク大学音楽学研究所にゲスト教授として招かれ、過去の音楽社会全体の研究に従事。所長マーリンク博士(後に国際音楽学会会長)との共同研究の成果として、共著『オーケストラの社会史』(1990年)を著すとともに、単独で『楽譜の文化史』(1993年)、および『音楽演奏の社会史--よみがえる過去の音楽』(1993年)を執筆。音楽史の成り立ち(史学史)を『音楽史の形成とメディア』(2002年)に、CD時代の到来に即応して約3000曲のシンフォニーを『文化としてのシンフォニー』全3巻(2005-2013)にまとめる。近著としては『ベートーヴェン像 再構築』全3巻(2018年)、『ベートーヴェン 完全詳細年譜』(2019年)がある。

安田寛(やすだ・ひろし)

音楽探偵
1948年、山口県生まれ。1974年国立音楽大学大学院修士課程終了。2001年奈良教育大学教授。2013年定年退職し現在奈良教育大学名誉教授。2001年放送文化基金賞番組部門個別分野「音響効果賞」、2005年社団法人日本童謡協会日本童謡賞・特別賞。主な著書に、『唱歌と十字架 明治音楽事始め』(音楽之友社、1993年)、『日韓唱歌の源流 すると彼らは新しい歌をうたった』(音楽之友社、1999年)、『唱歌という奇跡 十二の物語』(文春新書、2003年)、『バイエルの謎 日本文化になったピアノ教則本』(音楽之友社、2012年、新潮文庫、2016年)、共著に『仰げば尊し―幻の原曲発見と「小学唱歌集」全軌跡』(東京堂出版、2015年)、『バイエルの刊行台帳』(音楽之友社、2021年)などがある。

坂元勇仁(さかもと・ゆうじ)

レコーディング・ディレクター
コーラス・カンパニーにおいて「学び舎 遊人」プロジェクトを立ち上げ、「コロナ禍における合唱活動を考える」シリーズほか多数のオンラインセミナーを企画・実施、モデレーターを務める。現在、大阪芸術大学客員教授、東京音楽大学特任講師、道の駅日光 公共施設 プランニング・プロデューサー。

大崎滋生先生著作物のご案内 ※お持ちになると講座の理解が深まるでしょう。

ベートーヴェン像 再構築
大崎 滋生 著
出版社 春秋社
ISBN 9784393932117
判型・ページ数 A5・1360ページ
定価 19,800円(本体18,000円+税)
作曲家の創造と社会。21世紀にベートーヴェンはどう読み解かれるべきか。
セイヤー伝記を大きく塗り替える試み。

最新の基礎研究――書簡交換全集・会話帖全集・楽譜新全集校訂報告の全的把握と新作品目録によって可能となった全く新しいベートーヴェン像の地平。2020年(生誕250年)に先駆けてベートーヴェン新時代の到来を告げる労作。見逃されてきた楽譜出版の実態解明と作品の成立・受容の様相を根本から見直す精緻かつダイナミックなアプローチ。
■"ベートーヴェン像再構築"のためのキーワードから(ごく一部)
発表から百余年、セイヤー(=ダイタース=リーマン)の研究を徹底検証!
・新カタログがあぶり出す国外での精力的な出版活動とその意味
・作品番号と作曲時期の「ずれ」はこうして起こった
・Op.番号には17もの番号空白があった
・出版をめぐる交渉・駆け引き、戦時下の経済低迷に晒される
・さまざまな献呈のありかた:献呈行為に託されたメッセージ
フランス革命戦争~ナポレオン戦争(1792-1815)に翻弄され続けた青年~壮年期
・2週間とされた第1回ヴィーン旅行の謎:5ヶ月近いヴィーン・バイエルン武者修行だった
・「モーツァルトの精神をハイドンの手から」再考
・結果としてのヴィーン定住:ボン宮廷の消滅が退路を断った
・「ハイリゲンシュタットの遺書」と見過ごされてきた作品群(ピアノ変奏曲Op.3435とオラトリオ《オリーブ山のキリスト》):“傑作の森”のミッシング・リンク
・パリ進出計画(《エロイカ》、《ヴァルトシュタイン》《クロイツェル》)が実現しなかったわけ
・「大作」作曲時の経済的困難、"ベートーヴェン・オフィス"の功罪
・《運命》と《田園》、同じ二人の貴族への共同献呈は何を意味していたのか
・《ヴェスタの火》放棄にはじまる《フィデリオ》完成までの長い道程を当時のオペラ上演の全貌に位置づける
・三貴族による生涯年金の支給実態、通貨下落の直撃、そして裁判闘争
・ヴィーン離脱表明から年金支給開始に急展開の動きを追う
・著作権を自ら守る闘争、国際的時間差多発出版という戦略:《皇帝》の最初の出版はロンドンだった
中期から後期へ
・生涯全開期はなぜ“沈黙の時代”と呼ばれたか
・次弟カール一家への援助と借金、末弟ヨハン像の見直し、そして甥カールとの関係:家族として、秘書として…
・シンドラーの会話帳破棄・改竄の真相:後世の誤った像の元凶を糾す
・後期のピアノ作品はすべて「パンのため」!? 《ミサ・ソレムニス》と《第9》"
※3分冊合本(①384頁 ②488頁 ③488頁)

ベートーヴェン 完全詳細年譜
大崎 滋生 著
出版社 春秋社
ISBN 9784393932155
判型・ページ数  A5・632ページ
定価 8,800円(本体8,000円+税)

最新の基礎研究――書簡交換全集・会話帖全集・楽譜新全集校訂報告の全的把握と新作品目録によって可能となった全く新しいベートーヴェン像の地平。2020年(生誕250年)に先駆けてベートーヴェン新時代の到来を告げる労作大崎滋生著『ベートーヴェン像再構築』の、もう一つの偉大な成果。21世紀にベートーヴェンはどう読み解かれるべきか。その基本資料となるべき大作曲家の創造と社会を克明に年譜化。
付録:ベートーヴェンの「"音楽による戯れ"・カノン作品」

※このオンラインセミナーは、Zoomの「ウェビナー」システムを利用して行います。受講者は音声、ビデオともオフの状態での参加となります。

※PC、iPad、iPhone、Androidなど様々なデバイスからご参加いただけます。事前に Zoom アプリをインストールいただく必要があります。(Zoomへのアカウント登録は必須ではありません。)

※ご登録完了後、参加方法を記載したメールがお手元に届きます。お申込み後、2日経ってもメールが届かない場合は、弊社までご連絡ください。携帯電話の迷惑メールフィルターの設定で、@zoom.us / @choruscompany.com からのメールを「受信する」にしてください。

※受講者にはセミナーの模様を録画した動画を限定公開いたします。リアルタイムで参加できない方もそちらにて受講いただけます。動画のご案内は、セミナー終了後2日程度でご案内のメールをお送りいたします。

※オンラインセミナーに初めて参加される方のために無料のテストセミナーを随時開催しております。詳しくは弊社までお尋ねください。